朝から気合いのいる一日だと気付いたら

ピエール・エルメのデザートプレート

今、私の目の前にお座りのお姉さん(とは言え同年代)が顔を作っている。
ケバケバしくなく、自然なイメージを心掛けているとみた。マスカラとアイライナーは使っておいでだか、嫌味はない印象。
眉毛を描き入れて完成だ。この間僅か3駅。うむ、慣れていらっしゃる。

む?またポーチを出されたが、まだ足りないのか??
なるほど唇保湿ですか。乙女たるもの、唇は潤っていなければなりませぬな。
そちらはまた保湿剤でございますか。一度では足りない寒さ。お風邪を召されませぬよう。私は病み上がりでございます故、お嬢様はどうかお近付きになりませぬよう。
肌色の紅?そちらは純なお嬢様にお似合いでございますよ。ですが、少し寂しい気も致しますな。これは出過ぎた真似をいたしました。お許しくださいませ。
おや、紅を引くのでございますか。でぇとに行かれるのでござりますね。色がつきまして麗しゅう存じます。
さらに上からお塗りになるのですか。それはいったい何でござりましょう?キラキラと眩しい…いえ、お嬢様の方が輝いておられますぞ!!それ故これ以上お塗りにならずとも…。何と言いましょうか、卑、いえ、バランスが、その……。

この間僅か1駅。速っ。
真っ赤でテカテカした唇を彼女は横いっぱいに開けて微笑んだ。隣りに男の人が座った。
「おはよう。楽しみだね!ディズニー。」
あぁ、そうか。私はただ幸せそうな彼女に嫉妬をしていたんだ。わかってるよ、わかってるんだ…。
早く寝なければならないのに、昨夜コントローラーを握ってしまったスッピンのオレ様にメリークリスマス。