オレは狼なのさ!

小学館に見学へ行くという集まりにお邪魔した。

神保町にあるのだが、なんと大学から大人数で移動することに。
現地集合にすればいいじゃないか…とぶつぶつ言いながらついて行った。


どうしても集団行動が苦手だ。
小学校での「修学旅行のための新幹線に乗る練習」のせいだと思う。
ど田舎の学校のため、生徒の大半が新幹線に乗ったことがなかったのである。
ここで思い出し話。
高校時代の先輩が、大学受験のため福岡へ行った。
「やべぇよ!切符がさぁ、勝手に吸い込まれて出てくるんだぜ!!」と帰って来た彼は開口一番のたまった。唖然とする私。
「あ、おまえ信じてねぇな」幸せな勘違い野郎は得意げに続ける。
「ふふん、さらに地下を電車が走っているのだ!」
「マジでっ!?」
「そう!すげぇだろ〜」
「先輩、本当に自動改札知らないの?地下鉄も??」
「ん?驚かんの??」
……先輩に驚いたよ。

親に連れられて大阪や金沢に行っていた私は、幼い頃に自動改札も地下鉄も経験済みだ。
「皆で新幹線に乗る練習なんて、やる意味が解らない!」といきり立っており、先生の話を聞く気は当然ない。
普段から「休め!気をつけ!!」でも遅れがち、さらに対外音断絶モード脳内妄想爆発中の私は集団行動に対応できるはずもなく、同学年の前で注意されることとなったのである。
以来、私は集団行動の度、叫んで走り出したくなるようになった。
ただの危険なガキだが、いまだにトラウマ。
気心しれた部活の仲間でも、サークルの集まりでも、電車は嫌だ。バス万歳!
私の恐るべき集団行動とは、誰かの引率の元何列かの縦列に並び、列を乱さず黙ってついて行く、こと。
大人数で電車に乗るということは、紛れもなく集団行動を指す。
地下鉄で移動することになったので、ため息をついた。
「***円の切符を買ってくださ〜い」の声にイライラ最高潮。
もっと安く行けるじゃねぇか!と言いたいのは堪えたのだが、私は安いルートの切符を買ってしまった。
結局、私の買った切符のルートで行くことになったから良いものの、高いルートだったら完全別行動だった。
もう少し大人にならなけりゃ…と車内で反省する。


到着すると、班行動となった。
本屋に知らん人と入れねぇよ…と不平を言いたいのを堪える。
私は「ひとりよがり」が好きなのだ。
服を買うとき、本を買うとき、ひとりが心地良い。
我がままかもしれない。
でも、趣味が如実に表れる物を買う時はひとりが良い、そう思う人は私だけじゃないはずだ。
誰だってそうだと思う。
「これどうかしら?」と一緒に来ている友達に見せている時、「いいねぇ」という返事しか来ないのが悲しい。
「いや、それは似合わねぇ。やめとけっ!ブタ度上昇だ…」と構わず斬ってくれる友達が私にはいる。
彼女のような奴こそ、大切にしようと思う。


さて、小学館へ入ることに。
週刊少年サンデー編集者のお兄さんからお話をうかがう。
「コミュニケーション能力がいるんですよね」とのお言葉。
つまり、漫画ばっかり読んでいてはいかんということである。
肝に銘じておきます。
その後、辞書編集者のお話をうかがう。
「忍耐力がいるんですよね」とのお言葉。
そりゃそうだろうなぁ…より古い用例を探す仕事、辞書とは奥深く底のない文字の世界だ。
今日お話をうかがった方々からはプライドが伝わって来た。
そんな仕事ができたら幸せだな、と感じた。