すぎ恵美子『げっちゅー』

おお振り』を読もうと漫画喫茶に行ったら、席の横がフラワーコミックスの棚だった。
懐かしい作品やちょうど連載中で気になっていたものがずらっと並んでいて、『おお振り』のことを忘れる。
時間もないし、何にしようか迷ったあげくの、これ。

げっちゅー 1 (少コミCheeseフラワーコミックス)

げっちゅー 1 (少コミCheeseフラワーコミックス)

出版社 / 著者からの内容紹介
椎名安俚(しいなあんり)、17歳! ただ今、女子高生に超人気のミュージシャン“SHIN(シン)”に命がけの恋、してます!! “一度でいいから抱かれたい。SHINの手で女になりたい! 必ずSHINをGETする!!”毎日SHINへの想いでいっぱいのあたしに、ある日チャンスが…!? Hでキュートなラブストーリー第1弾。

2月にすぎ恵美子が急逝したのを思い出したのだ。訃報を知ったのはつい最近だが(しかも2ch)、知ってから読んでいない。
追悼読破することにした。時間の関係上、全巻は無理だったが、頑張った。
すぎ恵美子は私が小学生の頃から少コミなどで活躍する女性漫画家だ。少コミからお察しの通り、「えっち」な作風である。「えっち」というのは、「きゃー!のび太さんのえっちー」の「えっち」と同じぐらい軽度であることを意味する。エロではない、「えっち」なのである。
大人になってから読んだら、さぞかし刺激も少なかろう・・・と斜に構えて少コミを読んでいた子供だったので、はまった記憶はない。
『♂と♀の方程式』をそろばん教室の待合室で読み、「高校生ってなんておとろしいの!はれんち!!」とむずむずする鼻の奥を押さえたことと、クラスメートの女の子たちが回し読みしてたことは覚えている。
つまりは、渡瀬悠宇と並んで「大人の前で声に出して読めない漫画を書く漫画屋」という認識である。むろん今でも変わりはない。
訃報に接し、「そういえば彼女の近作はどんなものがあるのかな?オトナ年齢だし、読んでみっぺ」と思ったものの、行動に移していなかったのだ。


絵がずいぶん変わったけれど、昔よりだいぶ激しい描写が増えている。まぁ掲載誌がCheeseなので、仕方ないんだろうが、「えっち」よりは「エッチ」であり、「エロ」よりは「エッチ」に近い。
こういう毎回○○○(←自重)するマンガ(最近はティーンズラブっていうらしいが)の読者層って高校生以下なのだろうか。
90年代の少コミの登場人物たちが憧れ、夢見た○○○ってのが、あっさり、しかも初回から描かれていることに、ちょっと切なさを感じた。
怒濤の○○○の嵐に疲れたが、でも、やっぱり少女漫画だった。
主人公が彼を「SHIN」ではなく、自分の彼氏として健気に慕っている姿に、今も昔も変わらない恋する女の子を見たからである。


ご冥福をお祈りいたします。
次は『水戸黄門外伝 DokiDoki アキの忍法帳』を読もうかな。