妖怪大邂逅

世間では妖怪ブームだそうな。これは書店へ行けば確認ができる。妖怪関連の本が出版され、水木大先生の漫画も復活して(もともとあったんだろうけど)平積み。京極夏彦氏も妖怪研究家としての活動が目に付くような。まぁ『姑穫鳥の夏』の公開も妖怪関係だよね。

さて、我が鳥取県ですが、水木大先生の故郷なんだよね。はい、町おこしのチャーンス!
もともと先生の出身地である境港市は有名な漁港で、社会の教科書にも堂々と覚える項目として出てくる。鰯の水揚げ高だっけ?とにかく地理的には名のある町。
鳥取県のお偉いさんたちは、境港が水木大先生の故郷だということをアピールして観光客ゲット!という魂胆から様々な鬼太郎ものを製作しておるのです。
代表すべきは鬼太郎列車。全面に鬼太郎ご一行様が描かれた車体。境線*1を走っている姿は、妖怪なのにメルヘン。でも夜はオヤジが怖い。ちなみに米子発着の高速バスも鬼太郎デザイン。東名高速で妖怪が走ってきても驚かないように。

そんなオチャメな鳥取県(?)の境港には水木しげるロードなるものがある。鳥取県民の私は遠足で行ったことがあるのだけど、水木漫画の主要キャラしかいなくって物足りなかった。
今年の妖怪ブームでさらにパワーアップしているということで、特にやることのない私は「何でそんなとこに行くんだよ?」と鼻で笑う弟を尻目に境港へ。

行ってみるとお盆だからか駐車場が埋まっている。大して期待していなかった私と母は驚いた。車をなんとか止め、早速鬼太郎に会いに行く。新たに水木しげる記念館が建設され、境港駅から記念館までの間が水木しげるロードになっていた。つまりは私が来たときより伸びている、いや、増えている!こんなに妖怪いたっけ??だってさぁ、コロボックルなんていなかったはずだよ。それより山田さんは妖怪じゃないだろ・・・。水木しげるロードだから良いのか?ううむ。それにしてもよく増えたわねぇ〜と100体はあろう銅像をひとりひとり見てまわる。全長約800mあるそうな。意外と長いのね妖怪の小径。周りはおみやげ屋さん。取り外された看板跡に、長年経営してきたと思われる洋服店の名残が見える店舗もあった。町おこしは町で行うものだ。止むを得ず便乗したのかどうか定かではないけれど、そこに田舎の不思議な団結心の魔力を垣間見た気がした。


ちょっとした哀しさを感じつつ、私は妖怪饅頭をお土産に買い、鬼太郎と目玉おやじ*2にさよならをした。
町を流れる川に、髭のないナマズのような鯉を見つけた。鯉だと・・・思うんだけどな。柳の下で跳ねた妖怪は変わる町をどんな目で見ているのだろう。

*1:米子〜境港間を結ぶ。言うまでもないが単線。常に鬼太郎列車が走っているわけではない。普通の銀色列車も走っている。しかも手が込んでいて米子の境線ホームは0番線。そう零番線、霊番線。きゃほぅ!

*2:目玉おやじの好物はさくらんぼなんだって。・・・なんかなー。