昔のむかし、そのまたムカシ
早朝から新幹線に乗って西へ。
リヤルを探しに・・・ではなくて日本を探しに。
祖母の見舞いも兼ねて、今やっている正倉院展にも足を運んできた。
じいさまの裸、鴨のコンフィ
さて、まずは大阪で母と落ち合い、お昼を食べることに。
母が予約しておいてくれたリーガロイヤルホテル内のバイキング。
ホテルレストランのビュッフェ!あぁなんという美しい響き・・・。
母の熱いアメリカドラマの話を聞きながら、歩いてホテルへ。
少し早く着いたので、レストラン前で開店を待つことに。
そこで恐ろしい事実に気づく。プールサイドのレストランだったのだ。
別にそこまでは良いが、泳いでいるのは皆じいさまという悲しい光景が目の前に広がっていた。
レストランで食事を楽しんでいても、視線をずらすとじいさまの裸・・・。
鴨のコンフィをナイフで口に運びながら、それでもカッコいいお兄さんは現れないものか、とプールを見つめてしまう悲しい女の性。
「・・・ぺさまでも良いから出てきてくれよ」という反韓流(チャングムは別)の母娘のボヤキは、じいさまの数を増やし、鴨と共に胃の中へ消えていった。
フリースを着よう!
気を取り直し、奈良へと向かう。
まず初めに、奈良国立博物館へ行く。正倉院展はここで行われているのだ。
平日だから人手は少ないのではないかと思っていたが、大間違いだった。
人人人人人人人・・・入り口付近の展示物は、ガラスの前に人だかり多すぎて、何があるのか見るまでに時間がかかった。
さすが正倉院展だなぁ〜と圧倒される私と母。
場内は人々の熱気で蒸し暑く、上着を脱いでも汗が止まらなかった。
それでも一見の価値あるものたちは、ガラス越しに並んで、時を語りかけてくる。
本当に美しい螺鈿と琥珀の鏡(鏡上万国博覧会)から、原型を留めていない掛け軸(推理欲かき立てまくり)まで、様々な宝物を観た。
最も心惹かれたのは碁石で、黒と白ではなく、赤と青の碁石だった。ひとつひとつに鳥の絵が彫られ、その小さくも鮮やかな姿に当時の職人さんの魂を見るような気がした。
宝物の中には、不織布でできた絨毯もあり、今だきれいに残っていた。
不織布?・・・フリースだ!と短絡的発想の私は、いたく感動。
昔も今も、フリースを愛するのね!と言っている私の傍で、母は
「今でも使えそうねぇ・・・」とまともなことを言っていた。
更に、長い紐がついているヒラヒラとした布『幡』というものを観た。
私は「エプロンだ」と言い、母は「旗だ」と言い、けんかになった。
後で確かめると、母が正しかった。
母は祖母に「バカなのね〜この子は」と言い、すっかり話のネタにされてしまった。
『幡』の使い方をパッと見ただけで分かる人のほうが少ないよ・・・。
人は多かったが、また行ってみたい正倉院展。
行く価値は充分にある。
もちろん華麗な宝物だけでなく古文書も見られるので、山上憶良の気持ちも味わえる。
だが、宮中をはじめとする奈良時代人々の生活ぶりが、何よりも活き活きと伝わってくるので、日本を見直すきっかけにもなると思う。
私も中学生の時正倉院展に来ていたら、世界史なんて選択しなかったかも。
よろしければhttp://shosoin.kunaicho.go.jp/へどうぞ。
ここでは宝物の検索ができる上、写真も見ることができます。