黄色いスポーツカーの親父

ツーシーター親父殿が買った。
冗談だと思い込んでいたのだが、本気で買ってしまったらしいのだ。つい最近、ラクティスが来たばかりなのだが。
田舎は車社会だ。どこへ行くにも車が必要。バスと電車は1時間に1本あればよい方だ。母も車を使うため、親父用通勤車としてもう1台購入したのだ。ただ会社に行くためだけに車を買うというのも贅沢な話だ。しかし、学生時代車サークルに所属し、全国をドライブしたりツーリングしたりして過ごしていた親父にとって、車は嗜好品そして必需品なのだ。実家に残っているのは母と犬だけとはいえ、実用度など完全無視、2人乗り荷物置場なしの車を選んだ親父はまだ若い。
「まさか黄色じゃないよね?」
「・・・・・・黄色」
もちろん屋根はない。雨が降ればカバーを使うが、豪雨には耐えられない。
田んぼに囲まれた鳥取の道を、黄色いスポーツカーで親父殿は今日も走る。助手席にバケツを乗せて。