終わらない戦いと雷雲の秘密

corujaさんは、茶色の封筒を抱えて、ほろほろと涙を流した。
犬氏はしきりに落ちてくる塩水を舐めていたが、あまりにも終わりがみえないので、犬氏は隣でcorujaさんの様子を窺った。
ティッシュを取り出し鼻をかんだが、corujaさんは魂が抜けたように座っていた。
母氏がガリガリ君を与えると、無表情でしゃりしゃりと食べた。
一張羅である戦闘服の上に、ぼたりぼたりと薄青い滴が垂れた。
corujaさんがふと外を見ると、暗雲立ちこめる灰色の空に、突如稲光が走った。
何かが割れるような激しい音に、窓が震えた。
耳を垂らし、犬氏はcorujaさんの膝に乗り、くぅと鳴いた。
雲の合間が絶えず光りを放ち、地上のさいたま市民を威嚇しているように音を立てた。
corujaさんは不穏な天体ショーに魅入り、気がつくと涙を乾かしていた。
稲妻は空と地面の間を縦に走り、巨大な灰色の雲は切れかけた蛍光灯のようにちかちかと光っていた。
震える犬氏を抱きかかえ、corujaさんはベランダに出た。
「あの雲の中にラピュタみたいなのがあってね、そこに宇宙人が地球侵略の拠点を据えてるんだよー」
とcorujaさんは犬氏と母氏に語った。
NASAは日本の自衛隊に協力を要請しており、全力で応戦する構え。
 しかし一般市民にことが知れてはならない。
 国家機密時建築物擬装用疑似雲製造機(早稲田大学筑波大学共同開発)173台を導入し、要塞ラピュタ(仮)を隠すことに日本政府は応じた。
 カムフラージュが完成したと同時に、JAXANASA代表ヘリコプターが航空自衛隊を伴い要塞ラピュタ(仮)に接近。
 要塞ラピュタ(仮)にいる宇宙人一行は新星雲からやって来た模様で、太陽語が通じないと判明。
 ストーンヘンジ研究家が急遽呼ばれ、衛星中継による同時通訳を行った。
 国家もとい地球の一大事を内密に知らされた埼玉県知事は、埼玉銘菓十万石まんじゅうを持参し、陸上自衛隊機で要塞ラピュタ(仮)に上陸。
 独自に宇宙人基地へ乗り込み、十万石まんじゅうを差し出し、埼玉からの撤退を直談判することに成功。
 『うまい、うますぎる!』と宇宙人たちは埼玉銘菓に舌鼓をうち、惑星1つ分のまんじゅうと引き替えに埼玉からの撤退を快く了承。
 現在、竹島付近に拠点を移し、宇宙人たちは地球上にある全種類のまんじゅうを要求している。」らしい。

corujaさんは十万石まんじゅうを食べたことがないと気づいた。